毎日がエブリデイ!

日々の雑記帳

追悼ロックハンドスター

 南部杯の予想のコメントを書きながら、思い返すことがあったので、予想のページのコメントへの加筆修正ではあるがちょっと書いておく。

 今年は岩手の名物レースである南部杯が岩手県競馬の復興支援として東京競馬場で実施され、岩手競馬復興支援の日として数々のイベントを行われた。馬産地として栄えて江戸時代から戦前にかけての日本の馬産に大きな貢献をした南部藩を記念したレースであり、単に名前を冠しているだけではなく、南部家の現代の当主が表彰式で「南部杯」を渡すという伝統のあるレースである。岩手競馬のファンにとっては特別な思い入れのあるレースである。しかし、今年は東日本大震災の影響で収容人員の関係上震災の被害の大きかった盛岡競馬場では行なわれずに、盛岡競馬場と提携を結んでいる東京競馬場中央競馬のレースとして10月10日の体育の日に行なわれたのである。

 その東京競馬場で行なわれた南部杯であるが、非常に残念な事故が発生した。「岩手の星」ということで名付けられた岩手県競馬所属のロックハンドスターが競走中止予後不良という最悪の事態である。

 私がその馬の名前を知ったのは昨年のジャパンダートダービーの時だ。その時はロックハンドスターという名前がどういう意味で名付けられたのかも分からなかったが、英語を日本語訳してみると「岩手星」となることが分かった。名前だけではなく、地元岩手では非常に愛されている馬である。そのジャパンダートダービーでは大井競馬場に横断幕を出して岩手から応援に来た応援団が結果は残念だったもののレース終了後に外した横断幕をバックに記念写真を撮っていたのが印象的だった。それだけ岩手のファンに愛されている馬だし、この日もおそらく地元から大勢のファンが応援に駆けつけたことと想像しているが、皮肉なことに岩手の名物レース南部杯でこの様なことになるとは切なくやり切れないものがある。

 決して万全とは言えない体調だった様だが、それでも彼は岩手のファンの期待を背に受けて東京まで遠征してきて走ろうとしてくれた。しかし、問題が多いと言われる東京競馬場の芝とダートの境目に驚いて飛び上がり、着地の際に致命傷を負ってしまった。競馬にたらればは禁物だが、もしこれが例年通り盛岡で行なわれていたら、それが無理でも芝スタートではないコースだったらと思うと胸が痛い。関東在住で普段は中央と南関東を中心に競馬を観ている私ですら切なく悲しい気持ちになるのだから、岩手のファンの悲しみは私なんかの想像が及ばないくらい深いものだろう。

 もちろん南部杯は盛岡で行なわれるのがベストではあるが、それが震災の影響でできずに提携先の東京競馬場で開催できたのは良かったと思っている。普段中央競馬しかやらないファンにも南部杯というレースがあるということを知ってもらえたし、トランセンドとダノンカモンのマッチレースやハイペースで逃げても4着に粘ったエスポワールシチー等レースとしての見応えもあった。しかし、期待していた岩手のファンのことを考えるとどうにもやり切れないものがあるよな。競馬、特に脚元があまり強くないがスピードのあるサラブレッドによって行われるレースには怪我は付き物なのかも知れないが、まさかこんな日にその馬がこんな目に遭うなんて、悲しすぎるよ。

 今後の岩手競馬を背負って行くはずだったロックハンドスターのご冥福をお祈りします。